アメリカン雑貨の店は12年でどう変わったか|2014年に紹介した47店を2026年に全部たどり直した記録
2026年9月15日 公開
2014年、このサイトは47軒の店を紹介しました。アメリカン雑貨、50's・60'sの古着、ヴィンテージ家具。当時はどの店も元気に営業していました。
そして12年間、その記事をほとんど更新しませんでした。
2026年9月、全部たどり直しました。1軒ずつ、公式サイトを開き、SNSを遡り、地図で住所を確認し、店主本人の書き込みを探しました。これはその結果の記録です。
店を探すためのリストではありません。「12年でこの業界に何が起きたか」を、47軒の実例から書いたものです。
結果
| 12年後(2026年9月) | 店数 |
|---|---|
| そのまま営業していた | 17 |
| 営業しているが、場所か営業形態が変わっていた | 10 |
| 実店舗をやめ、通販になっていた | 4 |
| 閉店していた | 9 |
| 判断できなかった | 3 |
まず、思っていたより生き残っていました。47軒のうち、はっきり閉店と判断したのは9軒。約2割です。12年という時間を考えれば、これは少ないほうだと思います。
そして閉店より、「生きているが変わった」ほうが多い(14軒)。ここがこの記録の中心です。
閉店した9軒
| 店 | 場所 | 分かったこと |
|---|---|---|
| VENTURIS | 大阪・豊中 | 2009年4月20日に閉店。記事公開の5年前 |
| Lookey Dookey | 東京・高円寺 | 跡地に別のアンティークショップ(営業中) |
| STAMP | 滋賀・長浜 | 跡地にタイ料理店とボクシングジム |
| midnight Run | 東京・三軒茶屋 | ファイヤーキングの店。Googleに閉業表示 |
| BIG MAN | 大阪・アメ村 | ヴィンテージデニムの店。地図に「閉業」 |
| Lento's | 埼玉・越谷 | ドメイン失効、住所に登録なし |
| Cavendish | 広島・安佐北 | ランプとサインボードの店 |
| AMERICAN GARAGE | 横浜ノースポートモール | 商業施設のテナント |
| STORE | 京都・伏見 | アーカイブが2021年7月で途切れている |
いちばん堪えたのは VENTURIS でした
大阪・豊中の VENTURIS は、30's〜50'sのアメリカンアンティークを扱う店でした。当サイトは2014年にこの店を紹介しています。
調べたら、閉店は2009年4月20日でした。
大阪の古着店のブログに、閉店を惜しむ書き込みが残っていました。つまり当サイトは、5年前に閉まった店を「営業中」として紹介し、それを12年間出し続けていたことになります。合計17年間、間違った情報を置いていたわけです。
これは2014年の記事作成時に、現地確認をしていなかったということです。どこかのまとめか、古い情報源を写したのだと思います。
※同じ構造の誤りが、沖縄の ROLL FIZZ でも見つかりました。掲載していた那覇の住所と電話番号は、2014年の時点ですでに無効でした。店は2006〜2007年ごろに宮古島へ移っています。
「跡地に何が入っているか」がいちばん強い証拠だった
閉店の判断で、決定的な証拠になったのは「その住所に、いま別の店が入っている」という事実でした。
- Lookey Dookey(高円寺北2-35-14)の跡地には、Art&Antiques LECURIO というアンティークショップが入っています。クチコミ37件・評価4.5の、営業中の別の店です
- STAMP(長浜市八幡中山町251-1)の建物には、タイ料理店とボクシングジムが入っています
- at's 夙川店(西宮市樋之池町27-69)には、別業種の店が入っています
「見つからない」は証拠になりませんが、「別の店がある」は証拠になります。この差は大きいです。
場所や形を変えて生き残った14軒
ここがこの記録でいちばん面白かったところです。
| 店 | 何が変わったか |
|---|---|
| at's | 夙川・六甲アイランド・三宮の3店をすべてたたみ、阪急うめだ本店10階へ |
| GOOD ROCKIN' | 2024年5月、町田から富山市へ本拠を移し、直営店を廃止 |
| TRI-ZEAL | 仙台から山形県朝日町へ(人口6千人台の町) |
| Tutti-frutti | 原宿から錦糸町へ |
| Penny's Market | 目黒区中根から大田区北千束へ |
| LONE STAR | 泉佐野市上町から栄町へ |
| SAMANTHA | 同じ西心斎橋で番地が変わった |
| TOMMY GUN | 同じビルの101号室から111号室へ。定休日も木曜に |
| CHERRY ROLL | BERRY MINTから改名。北堀江の店をたたみ奈良へ |
| atTic antiques | 中目黒の店をたたみ通販専業へ。電話番号も固定電話から携帯へ |
| GOODS FARM | 店頭販売を終了し通販専業へ |
| LAZY STORE | 新百合ヶ丘オーパから撤退し、楽天で継続 |
| BIG MAMA | 年中無休13:00〜20:00 → 水曜定休・17時閉店 |
| art tool 234-3 | 年中無休11:00〜20:00 → 週3日営業・17時閉店・要予約日あり |
| TRUSS | イームズ・北欧中心 → 国内インテリアブランドのセレクトへ |
大きい店ほど、店を減らして一等地に集めた
at's の動きが、いちばん分かりやすい例です。
1996年創業、欧米で家具を買い付け、自社工房で修復してから売る店。2014年の時点で夙川・六甲アイランド・三宮に店を構えていました。
その3店を、12年かけてすべてたたみました。三宮店の営業終了は2026年8月24日。30年続いた店です。そして2025年12月、阪急うめだ本店10階に「at's & Chronicle」を出しています。
郊外の路面店を3つ持つより、梅田の百貨店に1つ持つほうがいい。そう判断したということだと思います。アンティーク家具は単価が高く、たまたま通りかかった人が買う商品ではありません。買う人が集まる場所に、店のほうが移動したわけです。
小さい店は、逆に人がいないほうへ動いた
まったく反対の動きをしたのが TRI-ZEAL です。
ファイヤーキングを専門に扱う店で、仙台市から山形県西村山郡朝日町へ移りました。人口6千人台の町です。
これは在庫型の商売として理にかなっています。ファイヤーキングは「探して買いに来る」商品で、通りすがりの客は最初から当てにしていません。だったら家賃の安い場所に大きく在庫を置いて、通販で売ればいい。この店は裏の刻印の一覧を自前で公開していて、「詳しい人が指名で来る店」に振り切っています。
GOOD ROCKIN' はもっと極端で、直営店そのものをやめました。2024年5月に町田から富山市へ本拠を移し、いまは卸と通販の会社です。ブランドは元気です。
整理すると、こうなります。
- 高単価・その場で見て決める商品(家具)→ 一等地に集約
- 指名買いされる商品(ファイヤーキング、ブランド古着)→ 家賃の安い場所+通販
どちらも「郊外の路面店」から離れています。12年で消えたのは、店そのものというより「郊外の路面店」という業態だったのかもしれません。
営業時間の短縮が、静かに一番多かった
閉店や移転より目立たないけれど、数として多かったのが営業時間の短縮です。
BIG MAMA は年中無休の13:00〜20:00から、水曜定休・閉店時間も前倒しに。浜松の art tool 234-3 にいたっては、年中無休11:00〜20:00から、週3日営業・17時閉店・火曜と金曜は前日までの予約制になっていました。
これは古い情報でいちばん事故が起きやすいパターンです。店は存在します。地図にも載っています。それなのに行くと閉まっている。「潰れたのかと思った」という話は、たいていこれです。
12年で分かった、3つのこと
1. ドメインが切れていても、店は生きている
これが今回いちばんの発見でした。
静岡の STUD MUFFIN、京都の Carters。どちらも公式サイトのドメインは失効しています。そして、どちらも普通に営業しています。
個人商店にとって、サイトを維持することは必須ではありません。Instagramがあれば足りるし、常連客には関係のない話です。ドメイン失効を閉店の根拠にすると、生きている店を殺します。
逆に言えば、webの情報だけで店の生死を判断することには限界があるということでもあります。
2. 「店が無くなった」と「買えなくなった」は別のこと
実店舗をたたんだ4軒(atTic antiques、GOODS FARM、CHERRY ROLL、LAZY STORE)は、いずれも商品は買えます。
地図アプリで見ると、この4軒は「無い店」です。でも買えます。この差は、地図を見ているだけでは分かりません。
GOOD ROCKIN' も同じです。直営店はありませんが、ブランドは全国の取扱店と通販で買えます。
3. 12年前の記事をそのままにしておくと、嘘になる
これは反省です。
47軒のうち22軒、約半分が「2014年の情報のままではたどり着けない」状態でした。閉店した店を「営業中」として出し続け、移転した店に古い住所を載せ続け、VENTURIS にいたっては閉店から17年間、営業中として掲載していました。
書いた時点では正しかった情報も、放っておけば嘘になります。店の情報を扱うというのは、書いて終わりではなく、たどり直し続けるということでした。
この記録について
当サイト HONEYHONEY は2014年から、50's・60'sのアメリカ文化と、それを扱う店を記録しています。
閉店した店のページも、消していません。「もう無い」ということ自体が記録だからです。跡地に何が入ったか、いつ閉まったか、どこへ移ったかまで書いて残しています。
各店の詳細は、それぞれの記事へどうぞ。いま行ける店を探している方は、都道府県別の全国リストのほうが早いと思います。
※情報は2026年9月時点のものです。事実誤認にお気づきの方、また当時のことをご存じの方は、お問い合わせからお知らせいただけると助かります。とくに「確認できなかった3軒」(encounter/Quintette/相澤雑貨店)について、情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。